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ゆらのふなびと

競プロ, Python, C++

『春季限定ポコ・ア・ポコ!』夏海√ 感想

エロゲ 『春季限定ポコ・ア・ポコ!』

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プレイ時間:約6時間(+序章4時間)
テーマ:「今」/変わってゆくこと/「さよなら」
春ポコ感想ラストは夏海√です! ついにここまで来てしまった……。
正直体験版では夏海はノーマークだったんですけど、夏海√に入ってからやられました。なんじゃこの子可愛すぎる……!(うれしいなああああ!、あーんetc.)
夏海ルートは特に「今」という瞬間について認識を改めさせられました。エロゲやっててこういう「得るもの」があるっていう感覚はとても幸せですね。
 
それでは夏海√感想、行ってみましょう……!

 

【こっちの気も知らないで――】

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絶対あんたに音楽が好きって言わせてみせるわ!
 
そんな想いから第二に入ることを決めた夏海。
これからよろしくの握手をしようとしたら、彼方が意地悪して手をつないだまま寮まで帰ることに。
 
こっちの気も知らないで――
 
夏海は彼方が触れた手で想像に耽る。
 
好き。彼方が好き。初めて会った時から――大好き。
ずっと封じてきた気持ちが、最近勝手に表に出る。
ダメなのに。
 

自分の胸は嫌いだった。

いつも男子にじろじろ見られるから。

でも、二年になって彼方と同じクラスになった時、そう思わなくなった。

あたしがそばに寄って、少し胸を張ったりすると彼方はすぐ赤くなる。

可愛い。

可愛すぎる。

最近わざとそんなことをして、かわいい彼方を愛でたりする。

可愛い彼方を見るためなら、この胸も悪くない。

……あたしは嫌な女の子なのかな。

彼方にだけは、嫌われたくない。

嫌われたら、悲しくてもう生きていけない。

 

彼方に抱かれることを想像して、もう何度自分を慰めただろう。

数えきれない。

あたしはもう想像の中で、何度もあいつとエッチをしている。

本当の彼方はどんな顔をして、女の子を抱くんだろう……。

きっと優しい顔をしてるに違いない。

あたしの好きな彼方は優しい男の子だから。

その顔を見られるのは――

 

彼方が他の女の子を抱くのは嫌。

考えただけで、悲しくなる。

涙が勝手にこぼれてきた。

 

いつか彼方は他の女の子のモノになってしまうのだろうか。

彼方は春花が――お姉ちゃんが好きだったはずだ。

でも、もうお姉ちゃんはいない。

 

あたしが春花ならよかった。

それなら、彼方の彼女にしてもらえたのに。

春花は彼方と通じ合っていたから。

誰よりも、分かり合えていたから。

あたしの入り込むスキなんて、なかった。

春花に紹介してもらった時から、もうなかった。

――あたしあの時から好きだったんだよ、彼方。

 

ああ、彼方――

大好き――

 

一瞬の快楽の後はいつも、何とも言えない寂しさに囚われる。

春花がいない寂しさと、春花に対する嫉妬心があたしを苛む。

春花の死と同時に彼方は音楽を捨てた。

それがあたしには姉の死と同じくらいショックだった。

彼方と彼方の音が大好きだったのに。

春花は天国に彼方の一部を持っていってしまった。

 

 

夏海は彼方と彼方の音が好きだった。だからこそ「絶対あんたに音楽が好きって言わせてみせる」と断言した。

 

 

「――春花なのか?」

 

あの時の彼方の言葉があたしを苦しめる。

あの時、あたしは春花の代わりになれた。

彼方を助けられたのは嬉しかった。

でも――

 

――あたしは夏海だよ、彼方。

 

夏海は初めて会った時から彼方が好きだった。

でも彼方が好きなのは春花で。

春花が死んでからもそれは変わらなくて。

私は彼方が好きなのに。

彼方を救えるのは私じゃない。

だから春花のふりをしてメールを送っていたのだろう。

彼方を救いたかったから。

彼方を救うためなら、私は春花の代わりでもいい――。

「――春花なのか?」

彼方のその言葉は、私じゃ彼方を救えないということを夏海にはっきりとわからせてしまった。

 

だけど、だけど――

私は彼方のことが好きなんだ。

彼方のことが好きなのは私なんだ。

その想いが、葛藤が、抑えきれずに溢れ出てしまったのがあの「好きよ」だったんじゃないか。

 

 

 

ってか夏海、胸張ってたのわざとかよ! いやー、武器を持ってる女の子は怖いなー。 されてえよ

 

 

【神速の夏海】

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部室で2人のとき、夏海は彼方の隣に座り独奏をねだった。

すると彼方は夏海の好きなバラードを弾いてくれた。

「覚えててくれたの……?」といい雰囲気になるも彼方が夏海を「お母さん」呼ばわりして夏海アングリー。そして後ろから抱きつく!胸!胸がっ!!(これなんてエロゲ)(あ、この言葉エロゲに使うとよくわかんなくなる)

彼方が胸が触ってると指摘してどぎまぎするもみんなが入ってきた瞬間神速で離れる夏海。恐るべし。

普段はあんなに恥ずかしがり屋なのになあ。いや、むしろ恥ずかしがり屋だからこそ隠そうとする能力が秀でたのか。

 

 

【「うわああああああああいっ!」】

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くっ……くくくっ……

夏海の可愛さに私たちも不気味な笑い声を抑えずにはいられない。

 

ある日早く起きてしまった彼方が部室に行くと、夏海が朝練をしていた。

明日から毎日一緒に朝練をしようと言い出す夏海。

彼方は当然嫌がるが、夏海の後ろから抱きつき攻撃で陥落。

 

このあたりから「彼方」って呼ぶのが増えていくような。

 

朝食。彼方は財布を忘れたので寮に帰ろうとしたが、夏海が弁当を分けるからと制止する。

 

彼方は夏海の笑顔を見てつい言ってしまう。

 

 

夏海ってさ
すごいモテるんだろうなって思って
 
だってお前可愛いから――あ

 

 

夏海は耐え切れず外へ。

 

彼方が私を「モテそう」……?

彼方が私を「可愛い」……?

 

ここでキラーンっていう効果音が入ってるのがなんともツボww

 

喜びも束の間、

 

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このオチである。

 

 

【あーん♪】

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俺にもしてーーーっ!!!!!

 

すみませんここはこれだけです……はい……。

 

 

【夏海のお願い】 

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春花には何も返せなかった。
ある日、あいつは部室でピアノにつっぷしたまま帰らぬ人になってしまった。
病気なのは知っていたが、それでも別れの瞬間はあまりに唐突にやってくる。
いつかではダメだ。同じ過ちを二度と繰り返したくない。

 

 

夏海
俺にしてほしいこととかってない?
 
何を焦っているの?
あんたは今大変なんだから、自分のことを頑張ればいいのよ
あたしのことは、その後でいいわ
 
だけど、そうやって大事なことを後回しにして
結局できなくなったりしたらって思うと、少し怖い
 
――春花のこと言ってるの?
 
……あ、ああ
 
――馬鹿ね、大丈夫よ
あたしはそう簡単にあんたの前からいなくなったりしないわよ。安心しなさい
きっちり、お返しをしてもらうまではね♪

 

 

春花には何も返せなかった……そのことを思い出し、夏海に何かしてやれることはないかと尋ねる彼方。

それに対しての夏海の「何を焦っているの?」が泣きたくなるくらい優しい。お姉ちゃん……!って胸に飛び込みたくなるよ。そしてパフパ

 

そして3つ(!)のお願いを言い始める夏海。

一つ目は、部屋にグランドピアノ+防音工事。

いきなり彼方を困らせるハイコスト案件(防音工事は一人遊びの一件もあるのではないかと思うとかわいい)

二つ目は、彼方にずっと音楽を続けてもらう事。

そして3つ目は……

 

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(~~~~~!!!!)

 

夏海は教室で桜がふざけていたときに、「キ、キスとかそういうのは、好きな人同士でするものでしょ!?」と言っていた。

それを思い出し、夏海は自分のことが好きなんだと悟る彼方。

でも――

 

 

ごめん
俺、好きな子がいる……
 
それって……
……春花なの?
 
……
うん
 
告白した。
ずっと秘めていた想いを、伝えた。
春花本人にさえ伝えられなかった気持ちを、春花とうり二つの夏海に。
 
夏海は叫ぶ。
 
……代わりでもいい
春花の代わりでもいいから!
 
そんなのはダメだ。お前は夏海なんだ
夏海が夏海じゃなくなるのは俺は嫌だ
 
だけど、彼方はいまでも春花を求めてるじゃない!
 
誰よりも強く春花を求めてる!
だったら、あたしが代わりになる!
 
私じゃ彼方を救えない。
春花の代わりは双子のあたしにしかできない――
だからあたしが春花の代わりになる。
 
……俺が泣かせたんだ。
……どうして、気付いてやれなかった。
俺はあの時、夏海を春花と呼んでしまった時、こいつをとても傷つけていたんだ。
 
……ごめん
本当にごめん……
 
春花のふりをしてメールをたくさん送ってもらった。
春花の代わりにピアノを弾いてもらった。
夏海がどんな思いでそれをしていたのかも考えずに。
 
俺は、ずっとお前の厚意に甘えて、お前を傷つけて……
 
俺は、最低だ……
きっと、春花も天国で俺を怒ってる……
 
 
 
違う!
春花は絶対、あんたを責めたりなんかしない!
それよりも絶対、死んだ自分を責めるに決まってる!
 
ねえ? そうでしょ? 春花はそういう子だったでしょ?!
わかってあげてよ……!
誰よりもあんたがわかってあげなかったら、お姉ちゃんがかわいそうよ……!
 
嗚咽交じりの夏海の声。
それが叩く拳よりもずっと胸に響く。
 
その通りだった。
俺は春花がどんな子だったのかも見失っていた。
 
あんたやあたしがいつまでも悲しんでいたら、立ち止まってたらダメなの!
春花が悲しむから!
だから、あたしは音楽をやめなかったのよ……
 
だから、
だから、あんたも……!
 
その先は、涙ではっきりとは聞き取れなかった。
でも、わかる。
夏海が俺に何を望んでいるのか。
望み続けていたのか。
 
なんでお前が俺に音楽を続けろって言い続けるのか、やっとわかったよ
 
俺、過去に決着をつける
春花のいない現実とも、音楽ともきちんと向き合うよ
俺なりの結論を出す。約束する
それで、今までのこと許してほしい
 
馬鹿……
許すも許さないもないのよ
あんたは、ずっとあたしの友達だったんだから……!
 
さっきも言ったけど、俺はお前を春花の代わりにはしたくない
あくまで、夏海からの告白として返事したい
 
……少し時間が欲しい
 
俺は今ようやくスタート地点にたったばかりだ
ちゃんと考えて行動したい。また軽率な行動をとって誰かを傷つけたくない
そのための時間が欲しい
 
 
 
……あたしにそれまで待てって言うの?
 
あ、あんたね…
あんた、あたしがいったい何年待ったと思ってるのよ?!
10年よ、10年! 10年待って、やっと告白できたのよ?!
それなのに、まだ待てって……!
 
初恋で一目ぼれよ! ……悪い?

 

はいここで私のハートは撃ち抜かれたのでした。

 

―――

 

俺はどうしても春花を好きだった気持ちを捨てきれなかった。
どんなに望んでも、もうあいつと結ばれることはない。
そんなことはわかっていた。でも、こんな気持ちのままで夏海と付き合っていいのだろうか。
 
……夏海はすごいな
 
あいつが一番悲しいはずなのに、きっちり全部受け止めて生きている。
それどころか未だに過去を引きずっている俺の支えになってくれている。
 
……何をやってるんだよ、俺は
 
「四の五の言わずに付き合っちゃえよ! 春花」

 

最後のシーンでわかるがこの春花からのメールは実際に春花からのメールだったらしい。

桜のプレイヤー壊したのも春花。お前、桜大泣きしてたぞww

 

 

【違和感の正体】

予備審査の演奏について話す彼方と敦。
 
正直、今ではあの演奏でも納得できない
何か違和感があるんだ
 
また考えてしまう。なぜだろう?
全盛期の俺たちの演奏そのままだったのに。
 
そうか。それはよかったじゃないか
 
え?
 
それだけ、お前が成長した。そういうことだろう?
 
成長……
 
そんな風に考えたことはなかった。
以前好きだったものが色褪せる。
それに対する憐憫の情ばかりに俺は囚われていた。
 
自分が変われば、モノの見え方も変わっていくよね。
 
 
【心は制御しちゃダメ】

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ここでウェイトレス桜の登場。桜√以外でもこの姿が見られるとはw

 

野々宮が春花を好きだったことも、夏海が彼方を好きだったことも桜には見破られていた。

 

野々宮は春花ラブだったよね
 
お前、それ春花に言った?
 
言わない
それは野々宮が自分で言うべきことだし、自分で言いたいことだと思ってたから
 
伝えたの? 野々宮
 
いや……
 
そっか……
人生はままならないよね
 
野々宮は不器用だから気にしちゃうんだよね
春花が好きなまま、夏海を好きになった自分が許せない
 
 
 
野々宮
ひとつだけいい?
 
心は制御できない。ううん、制御しちゃダメ
だから
野々宮、心のままにいけ
 
……それで、誰かに迷惑をかけたとしても?
 
 
私達はいつだって、何かを犠牲にしている
だから、時には許されて
そして、時には許してをずっと繰り返して生きていくしかない
傷つき、傷つけまくり
 
私、今までいっぱい野々宮に迷惑かけたよね?
でも、野々宮はいつだって許してくれた
 
野々宮、春花に遠慮してたらダメ
もう私たちは春花とは話せないから、春花の本当の気持ちはわからないけど……
きっと、最後には春花も野々宮を許してくれる
認めてくれる
 
……それでいいのかな?
 
 
 
桜の言葉は正しいと思う。
でも、そうやって少しずつ気持ちの整理をつけることで、
つけてしまうことで、
俺たちは故人を忘れていってしまうのではないか。
 
……忘れたくない気持ちはわかるよ
だけど、遥に囚われたまま生きていくことが
野々宮の本質だとは、私には思えない
 
 
 
……わからない
まだ一年だ
 
もう一年、っていうこともできるよね?
 
 
 
もう一度言う
野々宮、いけ
心のままに
 

彼方の春花を好きな気持ちも大切な気持ちではある。

でも、春花と彼方はもう同じ時間を共有できない。

叶わぬ願いより、「今に向けられる心」を大事にした方がいい――。

 

 

【彼方の決意】 

今まで通りの演奏はもうしない
前回の演奏で感じてた違和感の理由が見えてきた。俺自身が変化したんだ
俺はこれから新しい演奏を模索する。それが本気で音楽に向き合う事だって俺は思う
だから、お前ももう春花のマネじゃなくて、お前本来の演奏をしてほしい
 
俺が今一緒に演奏したいのは夏海だ
 
ここから2人の新しい音探しが始まる。
 
 
【告白】

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第一の男子に囲まれる夏海。

すかさず飛び込む彼方。

 

――あんたはまた絶対演奏するの
――好きよ
――初恋で一目ぼれよ! ……悪い?
 
――比べものにならないんだ
特待生の資格とか、そんなのとは比べられない
お前とそんな小さなこと、どっちが大切かなんて比べるまでもない
大好きな子を泣かされて、黙ってられるか!
 
なんだかんだ言って、彼方は本当に大事なものを大事にできる人なんだよ。こういうとこホント尊敬する。
 
嬉しくて泣いてるのよ……
わかんないの?! 馬鹿……!
あんたが守ってくれたから……
大好きだって言ってくれたから、泣くほど嬉しいのよっ!
 
かまわないわよ……
だって、だって好きなんだもん……!
 
夏海
離れなくていいから、今から言うことをよく聞いてくれ
たぶん一度しか言えない
 
夏海、好きだ
俺の彼女になってほしい
 
もう一度、言って……
 
あたしは今のセリフを10年待ったのよ?!
もっともっと聞かせなさいよ!
言えったら言え~っ!
 
……い、言わないと
こ、このままキスするわよ?
 
はーい残念
時間切れよ

 

……! 甘酸っぱい……

 

 

 

そしてその日の夜……

 

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夏海……君はどこまでかわいいんだ。

 

 

【俺たちは変わってゆく】

彼方と夏海の演奏が変わっていたことに気づいていた皆。
演奏後、桜が(シリアス演技で)彼方を問い詰める。
 
夏海は夏海の演奏をしろ
 
俺はもう二度と夏海を春花の代わりにはしない。
 
お前の音が欲しい
 
 
妥協するの?
 
春花の音のままでは、一年前の俺たちを越えられないからだ
どうあがいても春花の音はこれ以上よくはならない
でも、俺たちは違う。俺も藍もまだ成長するんだ
桜、お前だってそうだろう?
 
俺たちはどうしたって、立ち止まっていられない
なら、いっしょに進んでくれる夏海じゃないと俺たちに合わせられない
 
桜、お前は俺に春花に遠慮するなと言った
だから、遠慮せずに言う
俺たちはもう一年前の俺たちじゃない
ずっと変わらない春花とは違う
もう俺たちは夏海じゃないとだめなんだ

 

 

時間――それは生きている者すべてに付随して流れてゆくもの。

生きている者は否応なくその時間の波に流され、変わってゆく。

 

死と生の境はこれだ。時間が流れているか止まっているか。

 

春花はもう彼方たちと時間を共有することはできない。

春花がまだ生き続けるとしたら――それは彼方たちの想い出の中でだけだ。

 

人は誰しも変わっていく。
望もうと望むまいと。
俺自身が変わりつつあるように。

 

―――

 

※R-18注意※

 

夏海が彼方に部屋の合いカギを渡して、試しに女子寮に入ってみるシーン。

 

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実は私はエロ絵ってあんまり得意じゃないんですが、この絵は超絶かわいかった。

この適度に恥らった表情が……!!

 

―――

 

部室でみんなが買い出しに言ってる間にいちゃいちゃするシーン。

 

女の子はなんでもできるのよ
好きな男の子のためなら……
 
 
な、夏海、届いた
 
う、うん、あたしの、彼方のが触った、ね
 
すごい嬉しい。夏海に全部、受け入れてもらえたみたいで
 
ば、馬鹿ね、あたしは……
 
こ、この指から奏でられるあんたの音を聴いた時から
ずっとあんたのことを百パーセント好きで受け入れてたのよ
 

ハートが……ハートが射ぬかれて過ぎて死にそう……

 

 

【選択】

彼方は春花が1年前に貸してくれたMDを見つける。

(私はこのMDを見た瞬間から嫌な予感がしていた……ピアノの音源云々ではないんだけど、春花が好きって吹き込んでて、彼方の心がまた過去に向いちゃうんじゃないかと)

 

MDの演奏は桜が持っていた音源より良いものだった。

 

あたし、春花の演奏なら完璧にコピーできてたって思ってたけど
これを聴くと、やっぱり別物ね
 
ここで「春花の代わりをした私」よりもさらに春花に近いものが登場してしまったから、夏海は当日も音源でやってと言い出すことになってしまった……
私は春花の代わりにすらなれない……そう思ったらもう、自分の存在意義なんてないって思っちゃうよね…。
 
 
顧問に演奏を聞いてもらうことに。
「今の演奏には衝撃がない」。
原因は彼方にある。彼方の今の演奏は中途半端。
 
変えようとしているのではなく、
変わりそうなものを必死で変えないようにしている
 
と指摘する。
これって右手が震えた桜状態なのか。
これでもまだ足りないって言うのか……。


顧問は予備審査の演奏を再現することを勧める。
彼方はそれを頑なに認めない。しかし――
 
あたしだったら、いいよ
もう一回、春花の代わりをしてもいいわ
 
たぶんこの時から、夏海は当日春花の音源でやってもらうことを決めていた。
それは「春花の代わり」ですらない。
 
彼方は夏海に、夏海の音を弾いてほしい。
夏海は彼方に、音楽を続けてほしい。そのためなら……。
 
みんなで両方の演奏を聴き比べてコンペすることに。
結果は3対2で春花案になった。
 
夏海は言った。
 
「本番でも春花の音源を使って」
 
 
――春花の代わりでもいいから!
 
またこいつは自分を捨てようとしている。
俺のために、また自分をすてようとしている。
 
お願いだ
俺の好きな子を、そんな風にぞんざいに扱わないでくれ
お前は俺に要求すればいいんだ。「もっとあたしの音になじむ演奏をしろ」って
そうしたら、俺は頑張れるんだ
口では文句を言っても、最後にはお前と演奏し続けようって頑張れるんだ
もっと俺を頼れよ!
 
……だって
あたしじゃ彼方を救えない……
だったら、春花の代わりでも何でもやるしかないじゃないっ!
あたしで無理ならそうするしかないじゃないっ!
あたしだって、あたしだって本当は……!
 
卒業式が終わるまで、皆とは会わないようにするから
 
応援してるから、頑張って
 
―――
 
それでも演奏会の日はやってくる。
時は待ってくれない。
 
――あんたやあたしがいつまでも悲しんでいたら、立ち止まってたらダメなのっ!
 
俺は今ちゃんと進んでいるんだろうか?
何度も心の中で問いかける。
答えは出なかった。
 
焦る必要はない。
彼方は、最後のシーンではそのことをちゃんとわかっている。
 
―――
 
夏海は「卒業式までみんなとは会わない」との言葉通り自室にこもる。
女子が夏海を説得に行くことになった。
 
桜:一応春花の音源も聴いておいて
 
わかってる
ここで、友達を踏みつけるようなことをしてまで演奏してどうなるんだろうって私も考えてる
 
……ねえ、野々宮
元々、私は春花との約束を果たすためにまた音楽を始めた
野々宮は特待生資格を維持するために始めた
でも、最近わからなくなった
本当にそれだけなのか、わからなくなった
 
ねえ、野々宮は
どうして、演奏してるの?
 
――ウチは彼方くんのファンやねん。な?ええって言うたって~
――嫌いな人が、あんなに上手く弾けるわけないよ!
――弾いて、彼方
――あんたの音がこのまま消えてしまうのがもったいないからよ
 
わからない
ごめん、俺にもわからない
心のままに生きたいのに
自分の心がわからない
 
 
【「今」という瞬間】
前日の夜――彼方は桜に言われた通り春花のMDをもう一度聴いていた。
ピアノの演奏の後に、春花の声が吹き込まれていることに気づく。
 
いいか、彼方、惰性で弾くなよ!
毎日、同じ部室で、同じメンバーと、同じ練習したって
本当は全部違うんだよ!
同じ演奏は二度できないように、同じ瞬間は二度来ない!
瞬間、瞬間をかみしめろ!
過去にとらわれず
未来を恐れず
今を、必死で生きて、感じて、それをあんたの音にのせてみろよ!
あんたはそれができる奏者なんだよ!
もっと弾けよ! 弾かなかったら泣くぞ!
明日、いい音待ってる!
 
おせっかいなヤツだ。
本当におせっかいなヤツだ。
死んでからも俺を励ましやがった。
 
「俺、過去に決着をつける 春花のいない現実とも、音楽ともきちんと向き合うよ」
そう誓った彼方が、本当にその約束を実行できたのは、きっとこの瞬間からなんだ。
 
こうして春花に背中を押されて――
ずっと離れられなかった、春花自身に背中を押されて――
 
やっと歩み出すことができた。
 
わかったよ
明日、いい音聴かせてやる
 
 
ここの春花のセリフはもう何度でも聴きたい。実際今書きながら我慢できなくてもう一回聴いた。本人の声で聴きたいんだよ。
 
彼方が春花本人に励まされるまで進めなかったって言うとなんか彼方が弱い人のような気がしちゃうけど、そんなことないんだよ。それだけ彼方にとって春花が大きな存在だった。大切な存在だった――それだけなんだよ。
 
「過去に囚われず」っていうセリフを春花本人が言っていることに思わず身震いする。
 
 
過去に囚われず 未来を恐れず
 
 
今を必死で生きて、感じて、
 
 
それをあんたの音にのせてみろよ!
 
 
【さよなら】
<>
卒業式当日。夏海のいない舞台袖で、彼方は会場を見渡す。
 

 

卒業生、在校生が集まり理事長の話を熱心に聞いていた。

もうすでに泣き始めている女生徒もいる。

 

大切な瞬間。

誰にとっても、今、この時は何より大切な瞬間で。

遠い過去よりも、

いつか来る未来よりも、

きっと尊い時間だ。

だって、人は『今』にしか生きられないのだから。

瞬間を連ねているのだから。

そんなかけがえのない瞬間を共有して、俺たちは生きるしかない。

俺に皆と同じ時を共有していると一番感じさせてくれるのが、時間の芸術と呼ばれた音楽だ。

たくさんの素晴らしい時間を与えてもらった。

そして、きっと、これからも。

――俺は撤回する。

 

――……嫌いなの?

――嫌いだ。ずっと嫌いだった

 

あの時夏海に言った言葉を。

 

だから、それを伝えないといけない。

きっと、俺のその言葉をあいつが一番待ってくれていたはずなのだから。

 

彼方は春花のMDを部屋に置いてきていた。

春花は彼方を励ましてくれた。

「今」――夏海やみんなと生きる大切さを教えてくれた。

きっとその時点で、あのMDの役目は終わっていたんだ。

 

俺は立ち上がって、マイクの前まで行く。

 

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます

皆さんにとって記念すべき今日という日に、演奏する機会を頂いて本当に嬉しいです

僕たちが今できる最善の演奏を皆さんにお贈りするつもりです

だから――

だから、少しだけ、あともう少しだけお時間をください

 

今、メンバーが一人遅刻してるんです

夏海、いるんだろう? 早くここに来い

お前が来ないと、演奏が始められない

 

夏海来えへんかったら、演奏できへんやん!

 

来ますよ

 

もし来えへんかったら特待生資格剥奪されるで!

 

そうすね

 

そうっすねって……

 

先輩は呆れ、

 

な、何落ち着いてるの~

 

終わった

 

藍と桜が脱力する。

でも、皆の顔はどこか嬉しそうだった。

 

なあ、早く来いよ、夏海

お前となら、俺はまた弾けるんだよ

誰でもない

お前となら!

 

藍、桜、先輩

ごめんなさい

俺どうしても、あいつじゃないとダメなんです

俺、あいつの音がたまらなく好きなんです



春花の音でなく。

夏海の音が。

 

夏海ちゃあああああああん!

すぐ来てええええええええ!

 

ナツミン、カモン!

 

夏海、早よ来てえええええっ!

 

ナ・ツ・ミン! ナ・ツ・ミン!

 

ナ・ツ・ミン! ナ・ツ・ミン!

 

ナ・ツ・ミン! ナ・ツ・ミン!

ナ・ツ・ミン! ナ・ツ・ミン!

 

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こんな事して、あたしが来なかったら、どうするつもりだったのよ……?!

 

来るよ

お前は俺が困ったとき、いつだってそばにいてくれた

予備審査のときだって、来てくれた

優しいナツミンの行動パターンは全部お見通しだっ!

 

夏海

俺はお前みたいになりたいんだ

お前の音が本当に好きなんだ

いや、目指していると言ってもいい

俺や桜がずっと立ち止まっていた時も、

ただ一人で、ずっと、ずっと姉の死と向き合い、生きてきた夏海の音を

そんな音を俺も手にしたい

強くなりたいんだ

俺の今の目標はお前だ

特待生とか、そんなのはついでのおまけでいい

 

 

 

約束する

絶対にこの先、何があっても俺は音楽をやめない

 

たとえ特待生資格を失っても

この学園をやめることになっても

どんなに苦労しても、もう逃げないって誓う

 

俺、音楽が大好きなんだ……!

 

 

 

この言葉を告げた時、俺の中で言いようのない誇らしさと寂しさが駆け抜けた。

俺は自分で認めてしまった。

――もう、俺が以前の俺ではないことを。

 

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うつむくな、胸を張れ

お前は俺の目標なんだ

さあ、こっちに来い

俺たちと一緒に、春花とここにいる皆に最高の音を届けよう



夏海に向かって手を伸ばした。

 

夏海!

夏海ちゃん!

夏海!

 

仲間たちも皆、手を伸ばす。

 

う、うん……!

あたし、弾く……!

 

お前の音をくれ

俺が目指してる音を

 

――わかったわ

あんたも、半端な演奏したら許さないわよ

 

上等だ

 

ふふ

 

 

 

卒業する先輩方とご父兄の皆様

さらに、先生方、学園の友達、後輩たち

今、この瞬間を共有するすべての皆さんに贈ります

僕の大切な友達が――

いえ……

友達だった悠木春花が作った曲――

 

――届いてるか? 春花。

――今の、俺たちの音。

 

 

 

彼方は夏海が来てくれると信じていた。

ここまで信じられるってすごいと思う。

それだけ彼方の決意が固まったということなんだよね。

 

音楽はみんなとの大切な「今」を共有させてくれる――

そう気づいたからこそ彼方は心から「音楽が大好きなんだ」と言い切ることができた。

 

彼方は春花を「友達だった」と言い切った。

別に春花を切り捨てるわけじゃない。

ただ、時間を共有していない。それを「だった」と言っただけ――

 

―――

 

彼方の馬鹿が超綱渡りで演奏を終えた。

結果は知らない。

でも、さばさばした顔をして体育館を出てきたのを見て、あたしは安堵した。

わかったから。ああ、やっと言ってくれるんだなって。

彼方は皆と別れて、ふらふらとこっちに向かって歩いてくる。

芝生に寝転んだ。

よし。

あたしも勇気出してみるか。

 

――ごめん、また荷物半分持ってほしい

――彼方、

――あたしさ、

 

俺、お前が好きだった

 

 

――ぐわっ?

――先に言われた?

 

女の子に恥はかかさない

 

――うおーっ、成長してる~。

 

ああ、もう一年前の俺じゃない

 

――あはは、そっかそっか~。

――でも、過去形か~。

 

ああ、過去形だ

 

――フラれたか~。

――この薄情者めっ。

 

……ごめんな

 

――いいんだよ

――それでいいんだって。

――じゃあさ、彼方

 

うん

 

――あたしの想いを知ったまま、これから夏海と仲良くしてくれるってことだね?

――あたしの叶わなかった想いを全部全部しょって生きてくれるってことだね?

 

そのつもりだ

だから、安心しろ

 

――あ~~っ、そっか~~。

――これで、やっと終わったよ。

 

俺はここから始まる

 

――そうだね。

――じゃあ、先に行ってる。

 

―――

 

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お姉ちゃん、お姉ちゃん……!

 

夏海はずっと我慢してきた感情を一気に解き放つ。

爆ぜるように、俺の胸で泣き叫ぶ。

俺は夏海を優しく抱きしめながら、自分自身の涙をなんとかこらえる。

奥歯をかみしめる。

少しずつでいい、強くなるんだ。

もう立ち止まらないんだ。

支えられるだけじゃなく、支えるんだ。

だから、言わなければならない。ずっと怖くて伝えられなかった言葉を。

抱えきれないくらいたくさんの想い出をくれたあいつに、

ずっとそばにいて、俺たちを支えてくれたあいつに、

大好きだったあいつに――

 

「「さよなら」」

 

 

 

この最後のシーンでは春花に声がない。

同じ時を生きていないから――

回想シーンでは、春花と彼方が同じ瞬間にいたから声を交わすことができた。

でも今は、立っている時間が違うのに、音を交わす事なんてできない。 

彼方と春花が別れつつあるからだということもできる。

 

 

夏海、今は泣いていいんだよ……

今の彼方になら、それを受け止めるだけの強さ、ちゃんとあるから。

 

―――

 

俺たちは、立ち止まってはいられない。

少しずつでいい、強くなるんだ。

 

彼方は春花にさよならを告げると同時に、

きっと春花からあの言葉を受け取ったんだ。

 

その言葉は――――

 

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”人生はね、ポコ・ア・ポコなんだよ!”

 

―――

 

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―――

 

【あとがき】

夏海√感想でしたー。夏海√は他のルートに比べて感想がすらすら書けた気がします。字数は一番多いんですが(引用含め藍5000字→桜8000字→夏海12000字)。馴れてきたのと、夏海√は書きたいことがはっきりしていたからかな?

画像アップロードの容量がギリギリだったけど、なんとか作れてよかった! 今月あと2%しかないよどうしようw

この感想を書いている間は正直ずっと書いていたいと思ってました。これを書き終えたら春ポコは終わっちゃうんだなって気がして……。そのくらい良い作品だったんだなー。

はてなブログの編集画面は狭いので「Evernote貼り付け」を使ってるんですが、これやると見出しをつけようとしたときにバグるんですよね…一行だけ変えたいのに全部大見出しになってしまったりとか。なので全部文字の大きさで対応するという……。

 

未解決問題が1つあって、

――あたしの想いを知ったまま、これから夏海と仲良くしてくれるってことだね?

――あたしの叶わなかった想いを全部全部しょって生きてくれるってことだね?

ここは正直よくわからなかった。「想いをしょって生きていく」ってどういうこと?

またいつか、この言葉の意味に出会える日がやってくることを祈って……。

 

次は『G線上の魔王』をプレイ予定。体験版やったけどめっちゃ面白いじゃないですかー。ハルの頭の良さには脱帽だよ。「痛いキャラ」の描かれ方の違いにはちょっと時代を感じます。

 

 

以上、クールクールクールポコ押忍、

ありがとうございました!(懐かしい)