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ゆらのふなびと

競プロ, Python, C++

『春季限定ポコ・ア・ポコ!』桜√ 感想

エロゲ 『春季限定ポコ・ア・ポコ!』

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レイ時間:約6時間
テーマ:今と、過去と向き合うこと/友達

 

春ポコ桜√感想です。
桜√はいろいろなドラマがあって密度高かったなあ……。
 
鈍感なようで繊細で、それでいてとても強い子でした。

 

可愛いんでしょ?

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はいやられました。
彼方が可愛いと言ってくれたから制服を脱ぎたがらない桜。
可愛すぎるでしょ……!
 
あとねー、桜はこっちの人気投票のシーンも可愛いです。
その用紙ちょうだい
野々宮が私に入れてくれた記念
 
もしかして、好きなのか?
 
……難しい
私達は小さなころから知り合いでいろいろあったから
私も野々宮もいろいろあったから
だから、好きとか嫌いとかそんな風に決めきれない
 
桜たんはあはあ!(桜風に!)
 

友達じゃない

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春花はみんなに留学すると言っていたが、実はそれは嘘だった。
 

お前、たまにすごい思いつめたような顔してピアノ弾くからさ、気になるんだよ

 

そんな彼方の言葉に、春花は耐え切れず告げる。
 
私の荷物、半分持ってほしい
 
病気の治療のためにアメリカに行くという春花。
確率からいうと、彼方たちにはもう会えない。
 
病気にも、あたし自身の運命にも、あたしたちの音を汚させない
だから、彼方も最後まで笑ってあたしと付き合って
 
春花はきっと「今」を大事にしたかったんじゃないかと思う。
自分の病気のことを言ってしまったら、きっとみんなと笑顔でいることはできない。
私はいまのみんなとのこの時間を大切にしたい――
「汚させない」という言葉にはそんな堅い意志が垣間見える。
 
そして春花が死んでしまって。
 
彼方は本当のこと知ってたんだね
どうして教えてくれなかったの?
私、春花にさよならも言えなかった!
春花はずっとつらかったのに、何もしてあげられなかった
 
彼方、ひどいよ!
彼方なんか友達じゃない!
 
彼方は彼方で葛藤があったわけで、言うべきだったのか言わないべきだったのかはもうわからないしこれからもずっとわからないと思うけど、桜の気持ちはわかるからなあ…。
 

屋上で

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野々宮がどうしてあんなに働くのか、私わかった
春花のこと、どうしても思い出しちゃうから
そうするとつらいから
だから、そんなヒマないくらい野々宮は時間を一生懸命埋めている
違う?
 
私達、春花がいなとだめだめだよね
 
音楽をやめ、バイトに打ちこむことで春花から離れようとする彼方。
約束にこだわり、春花とい続けようとする桜。
その姿は、形は違えどあまりにも似通っていて。
 
弾くのか?
 
ううん、帰る
野々宮が来る前にいっぱい弾いたから
 
そうか、惜しかった
 
何が?
 
もう少し早く来れば、お前のバイオリン聴けたからさ
 
……え
……野々宮は、私の音好きなの?
 
好きだけど
 
おおう
照れる
 
好きじゃなかったらカルテットなんて組まない
 
おおおおう
照れ照れ
 
懐かしい反応だ。
出会った頃の桜はこの感じだった。
バイオリンはうまいけど、気が弱くて照れ屋な、かわいらしい女の子だった。
 
そんな子と友達になれて、俺はすごく嬉しかった。
 
……嬉しかったんだ。
 
 
うるさい。俺の方が二か月年上だ。可愛い言うな
 
野々宮、私の誕生日覚えてるの?
 
十月二十四日だろ。初めて会った時、お前が自分でそう言った
 
……少しだけ、前払いする
 
「(お前の音)好きだけど」「好きじゃなかったらカルテットなんか組まない」からの誕生日覚えてる宣言。 これにはさすがの桜も前払いしちゃうよね!
 

イメージの定着

桜:
「イメージの定着」
今できたこの演奏のイメージを完全に覚えたい
そのためにはもう今日は楽器は触らずに、さっきのイメージを反復して頭に描く方がいい
 
彼方:
すぐに違う演奏をするとイメージが定着する前に上書きされそうな気がする
それがもったいない気がして
 
こういう練習方法もあるのだなーと。演奏するだけが練習じゃないのね!
 

桜、怯える

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桜が男性客に絡まれていた。
 
――っ!
 
気が付いたら、俺は店内にも関わらず駆けだしていた。
 
桜が俺の肩をきゅっと掴んだ。かすかに震えている。
――桜が怯えている。
そうわかった瞬間、俺の中に怒りが込み上げてきた。
 
(店を出ながら悪態をつく声を聞いて)
俺は割れたグラスを片づける手を止めた。
嘆息する。自分の青さに。
 
すぐに立ち上がり、出口に向かう。
「野々宮! ダメっ!」
桜の声を振り切って男たちを追う。
あーあ、せっかくここまで我慢したのにな。
そんなことを頭の片隅で考えながら。
 
衝動的に桜を守った彼方。
こういう、「倫理」を飛び越えて人のために行動できる彼方くんかっこいい。
しかしこの行動が大きな事件を引き起こすことに……。
 

策士、桜

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次の日部室に行くと、ピアノが壊されていた。
カメラに映っていたのは第一の竹永と三好。昨日桜を怖がらせた張本人たちだ。
彼方は自分の軽率な行動でこんな事態を引き起こしたことを悔いる。
 
竹永・三好は彼方たちが自分たちより高い評価を得ているのが気に食わないという。
それなら――と桜が勝負の方法を提案する。
動画サイトに演奏した動画を投稿して、再生数の多い方が勝ち。選曲は自由。
桜たちが勝ったら竹永・三好はピアノを用意する。負けたら桜と彼方がなんでもいう事聞く。
 
あんなこと言ってよかったの!?と心配するメンバーに桜は。
 
だって、私と野々宮が弾くんだよ?
百回やったら百回勝てる。ね、野々宮
 
この桜の笑顔が嬉しくて。
 
そして桜たちはアニソンで圧勝したのだった。
 
卑怯だ!と食い下がる竹永たちに、
 

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竹永、三好
自分の耳にウソをつくのはやめなさい
そんなことをしたら、あんたたち本当にもう音楽に見捨てられるわよ?
 
この夏海の言葉がトドメとなり、桜たちは第一のピアノを使えることに。
(桜は部室ごと乗っ取ろうとしてたけどさすがにそれはなしw)
 

濃密なコミュニケーション

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実に濃密なコミュニケーションだった
 
この表現いいなあ……。
エロゲのエロシーンにも同じことが言えるかもしれない。エロシーンは正直ボイスまで全部聴いてはいないのだけど、あれを見てると愛着が深まってくるというか。桜ルートだったら桜と彼方の関係性に対しての愛が深まるような気がしたのよね。
 

唯一の友達

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桜がネットに上げていた動画を見たウィーンの友達からメールが届く。もとは春花の友達だったという。「去年の冬休み前に、頭痛がひどいとメールに書いてあったとき、もっと私が強く検査することを勧めていれば」――その一文を聞いて桜は泣き崩れる。
 
野々宮、どうしよう……
春花が死んだの、私のせいだ……
 
自分を責める桜。
 
……ねえ、野々宮
春花は私の唯一の友達だった
私みたいな変な子に友達になろうっていってくれた、たった一人の友達だった
なのに
なのに、私……!
 
でも、私が春花を合宿に誘わなかったら
春花は冬休みに病院に言って、検査を受けてたかもしれない
そうしたら――
 
……わかってる
私も頭ではわかってる
でも……
春花は私を救ってくれたのに……!
私は春花に何もしてあげられなかった!
それどころか、苦しんでる春花のそばでノンキにバイオリン弾いてただけ!
そ、そんなの友達じゃないよ……
バカじゃん、私……
春花の友達だって、勝手に思い込んで……
頼ってただけ……
最低だ……
私、最低だ……!
 
私なんか!
私なんか死んじゃえ!
死んじゃえばいいんだ!
 
春花は、暗闇に閉じこもっていた桜を陽の当たる場所へと引っ張り出してくれた唯一の友達だった。そんな春花のために、自分は何もしてやれなかった。
だからこそ、桜は「春花との約束」を果たしたいと言っていたのだと思う。
春花のために、今からでも自分がしてあげられること――それが、叶わなかった卒業式での演奏をかなえてあげること。
 
でも、この一件で気づいてしまった。
約束うんぬんも、結局は自分が春花に縋っていただけだということに。
 
温めて……
ぎゅっとして……
今だけでいい……
今だけしてくれたら、ちゃんとするから……
いつもの私に戻るから……
お願い、野々宮……
 
思えばこの時から桜のエッチシーンは「悲しいこと、みんな忘れさせて」だったのだなあ…。
 
―――
 
今日、練習できなかったね
自分の弱さが嫌になる
 
野々宮は両親がいなくなっても頑張ってる
春花がいなくなって捨てた音楽とまた向き合ってる
やっぱり強い
全私が称賛している
 
……私の場合、向き合うって感じじゃない
春花との約束を守りたいだけ
ただの感傷だと思う
 
音楽と向き合うんじゃなくて、音楽に逃げてるんだよ
それって弱い。何の価値もない
 
――こいつは自分に厳しすぎる。
――音楽に対して純粋すぎる。
 
もし感傷で弾くのがダメなら、
私はもう弾いちゃいけないのかもね
 
「音楽に逃げてる」――桜は自分でこれに気づいてしまったんだ。
 

弾きたいのに…!

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痛っ……!

 
第一のピアノが使えるようになり、練習は順調に進むかと思えた矢先。
桜が演奏前に弓を落とす。桜の右腕は震えていた。
 
彼方はその症状を知っていた。桜は弾きたくないときは手が震えて弾けなくなる。
今の桜は弾きたくないと思っている――?
 
今日はもう休めという彼方に桜は、
 
もう一日だって休まない
本番まであと1週間ないのに
昨日、私のせいで一日つぶしたのに、これ以上休むなんてありえない
 
桜は……焦っていたのかもしれない。
いつまでも春花に縋ってばかりの自分が嫌で。
現実と向き合えずにいる自分が嫌いで。
その焦りが「弾かなきゃ」という義務感となってのしかかった。
 
今、私にとって
卒業式の演奏を成功させることが一番大事
ちゃんと今の音と向き合いたい
だから、休まない
 
桜の言葉を反芻していた彼方は、やがて一つの結論に辿り着く。
 
――ちゃんと今の音と向き合いたい
 
え?
今の音。
その言葉の意味がようやく俺の胸に落ちる。
今の音。春花のいない今の音。
 
ああ……。
そうか。
桜、お前、向き合おうとしてるんだな。
春花のいない現実と。
俺よりも先に行こうとしてるんだな。
教えられた。
くそ、なんだよお前。勝手に一人で。
それなら――
それなら、俺も向き合うしかないじゃないか――
特待生のためだとか、約束だからとか、そんな言い訳はここからはなしだ。
 
「俺は」
 
腹をくくる。
絶対あいつに置いていかれたりしない。
俺も今の音と向き合うんだ。あいつのように。
そうでなきゃ、あいつの隣で演奏する資格なんて、ない。
 
そして、俺も過去と今度こそ向き合うんだ。
 

お前の音が欲しいから、俺はお前をとめない

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次の日、桜は右腕にカーテンの切れ端で弓を縛り付けてきた。
きつく縛られた布にはかすかに血がにじんでいた。
 
大丈夫
ちょっとボウイングはぎこちないけど弾けるようになった
卒業式までには、いい音にしてみせる
だから、野々宮も――いい音ちょうだい
 
満面の笑顔。
すごい。やっぱりこいつはただ者じゃない。
俺なんか遥かに凌駕した音楽への情熱を持っている。
 
「さあ 演奏しよう」
 
この桜の笑顔は直視できない。なんで笑ってるのにこんなに辛いの? どうしてそこまで苦しまなきゃいけないの……
しかし桜の熱量は止まるところを知らない。彼方もその悲痛さから目を背けない。
 
「もう一度!」
「もう一回通してやらせて!」
 
肩で息をしている。
昨夜一睡もしていないらしく歩くたびにふらついていた。
なのに、音はどんどん良くなっている。
 
弓を布でしばりつけた右手は今でも震えていた。
布に広がる血の跡はだんだんと大きくなっているように見える。
 
先輩が身震いする。
ここにいる全員が桜の音楽に対する執念に気おされている。
 
乾いた古い血と新しい血で桜の手は赤黒く染まっていた。
「こんなにして……」
痛々しくて目を背けたくなる。
でも、それは許されない。
これは桜が向き合ってきた証なのだから。
 
野々宮は優しいね
 
優しくないよ
優しくないから、俺はお前を止めない
お前の音が欲しいから、俺はお前をとめないんだ

 

これが彼方の本当の優しさなんだなって思う。
こいつらはもう本当に……最高の友達だよ。
 
全員かなり疲れていた。
でも、モチベーションは最高に高まっている。
全員が新しい音の誕生を確信した、その瞬間――
「――痛っ!」
桜、バイオリンを落とし床に倒れる
「こ、今度は左手も……」
左手はフィンガリングを担う。縛って固定などできない。
あと、ちょっとなの
あとちょっとで、できる
春花に新しい音を聴かせられる
野々宮も助けられる
私、弾きたい……
本当だよ? 私弾きたいんだよ? 野々宮……
ひ、弾きたいのに……!
 
「春花に新しい音を聴かせられる」って、本当はわくわくする台詞のはずなのにどうしてこんなに悲しいの……
桜が竹永・三好との勝負の前に、
 
……野々宮と君達では覚悟が違う
音楽に対する覚悟、生きることに対する覚悟
違いすぎて比較にならない
 
って言ってたのを思い出した。これ桜もだよ。今の音と向き合うという覚悟。もう春花に縋ってるだけの自分とはおさらばするんだっていう覚悟。その小さな身体のどこにそれだけの覚悟とあれだけの食べ物が入るんだっ!!
 

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悲しいこと、みんな忘れさせて

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桜の怪我を受け卒業式の演奏は中止に。
桜が必死に頼み込むも決定事項はもう変えられない。
ごめん野々宮、私のせいで――桜は暗闇に再び閉じこもった。
 
卒業式前日。久しぶりに登校した桜は彼方を街へ連れ出す。用件だけ告げるとすぐにヘッドフォンで自分の世界に閉じこもってしまった。
外にいても、今の桜は暗闇の中に居る。
カラオケボックスにつくと彼方の上着で扉の窓を隠す桜。
彼方をソファに押し倒すようにしてそれは始まる。
(ここから引用が果てしなく長くなります)
 
桜の方から激しく求めてくる。
 
野々宮、キスしよ……
たくさん、たくさん……!
 
エロイことするって約束したよ。いっぱいしよ
 
はぁ、はぁ……
ど、同時だったね……
今、すっごいシンクロしてた……
野々宮とはずっとカルテットで息を合わせてたからかな?
嬉しい
もう演奏では、野々宮と合わせられないから
もう私は演奏できないから
ごめんね、
こんなことしかできなくて、ごめんね
 
違う
お前は絶対また弾けるようになる
だから、そんな言い方はしないでくれ
 
……優しいね
野々宮は優しい
だから……
つながりたいって思うんだね、きっと
 
 
桜に圧倒される。
こいつにはいつも驚かされてきた。
繊細なのに自由奔放で、
優しいのに力強い音に嫉妬した。
ずっと――憧れていた。
 
 
の、野々宮、も、もっと! もっとついて!
ま、また、頭、ま、真っ白になるくらい……気持ちよくして……!
な、何もかも、忘れるくらい!
 
気持ちがわかって辛くなる。どうしてこんなに快楽に溺れようとするのか。
 
ま、真っ白に、なって、わ、忘れさせて……!
悲しいこと、みんな、みんな忘れさせてほしい……!

 

野々宮
野々宮、またエッチしよう
 
明るく笑う。
でも、その笑顔はとても痛々しくて。
 
いつでもいいよ
野々宮がしたい時、いつでも呼んで
 
俺の好きな桜の本当の笑顔とは、まるで違っていて。
 
私の体で楽しんでくれればいい
 
だから。
 
慰め合おうよ
 
ずっと言えなかったことを、桜に伝える。
 
俺の知ってる一桜は
 
……え?
 
ありったけの勇気をしぼりだす。
 
俺の隣でバイオリンを弾いていた桜は
いつだって、マイペースで
いつだって、俺にもっといい音をよこせと言いたいことを言ってくれて
いつだって、俺たちをもっと上へと無理やりにでも引っ張っていこうとした
そんな女の子だ
ずっと、憧れていた
 
俺の憧れていた一桜は、
決して、傷の舐めあいなんか求めない
 
……!
 
お前が俺に教えてくれたんだ
今の音と向き合うことを
 
俺は向き合う
 
だから、お前ももう一度向き合うんだ
 
……む
無理だよ……
私、春花がいないと弾けないの……!
元々春花のために、春花のそばにいるために弾いていたから……
だから、無理……もう弾けないよ……
 
……それでも
俺はお前に弾いてほしい
それがお前にとって、つらいことだとわかっていても
俺は、お前に俺の隣で弾いてほしいんだ
 
……どうして?
どうして、野々宮はそんなにこだわるの?
特待生のことは、わかるけど……
 
違う
俺が特待生でいられるかどうかなんて、大したことじゃない
そんなことより、ずっと大事なことがある
一年間、ずっと願ってたことがある
 
俺はお前に
 
友達だって認めて欲しいんだ
また、彼方って呼んでほしいんだ
 
ずっと言いたかった
でも、怖くて言えなかった
 
だけど、もう逃げない
 
これが俺の二つ目のお願いだ
もう一度――
もう一度、俺の友達になってほしい
 
言った。
ずっと伝えたかった想いを、俺はやっと言えた。
今の俺に、今の桜に向き合った。
 
 
……ウソ
わ、私は……
私は、もしかして……ずっと……
野々宮を苦しめていたの……?
 
最低だ……
私、最低だ……
 
野々宮の気持ちは嬉しい
死ぬほど……嬉しい
でも、受け取れない
私には……その資格がない
野々宮をずっと苦しめてきたことにも気づかず
野々宮を助けることもできない
そんな私を私は許せない
 
そんなこと関係ない、
俺は、お前が
 
ダメ!
言わないで!
私に、その先を聞く価値なんかないっ!
 
 
桜!
俺は信じてるから!
 
俺は必死に叫んだ。
 
お前が絶対俺たちとまた弾いてくれるって!
 
遠ざかる友達の背に向かって。
 
「俺はお前に俺の隣りで弾いてほしいんだ」っていうとこ、序盤の中華料理屋と立場が逆転しているような感じがしていいなと感じる。藍ルートでは藍に救われた彼方が今度は遥を救ったわけで。今は桜に救われた彼方が桜を救い返そうとしている。こうやって救ったり救われたりを繰り返して生きるのが友達だよね……!
 

約束

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桜を引っ張り出せなかったみんなはため息だちに卒業式に臨む。
「卒業式に思い出の一つも作りたかったなー」という真菜先輩に「作りましょうよ」と言う彼方。
 
「彼方くん、なんかたくらんでへん?」「超たくらんでます」
 
―――
 
やっぱり無理だ。いまさら先輩にも、皆にも会えない。
何もかも台無しにしてしまった私は、こんな晴れやかな日に顔を出すべきじゃない。
 
いったいどのくらい泣いたのだろう。
それでもまだ涙は枯れない。
このまま、ずっと泣いて生きるのだろうか。
 
バイオリンケースが目に入った。
憎かった。
私を苦しめる音楽が憎い。
 
「もう、いらない……!」
 
バイオリンをケースごと窓から投げ出そうとする桜。
震える手を押さえながらやっとのことで窓の前までたどり着く。
しかしそれを制止するように、桜の携帯に動画のURLが届く。
 
皆、何をやってるんだ。
卒業式の日に、勝手にこんなことを。
あとで絶対叱られる。
なのに。
なのに、どうして皆はこんなに楽しそうなのだろう――
 
「あ……」
 
野々宮の演奏している様子を見ていて気づく。
野々宮の隣に、席が一つ空いていた。
私の席が空いていた。
 
「……野々宮……」
 
涙がまた頬を伝った。
でも、この涙はさっきまでの涙とは違う。
嬉しくて。
嬉しくて――。
 
「野々宮……、野々宮!」
 
届かないのに声援を送ってしまう。
すると、野々宮はそれに応えるかのように次の曲へと移った。
聞き覚えがある。
優しくて、懐かしい。
 
「――以上、悠木春花、はじめてつくった曲」
「ともだちのうた」
 
ズルい。
こんな曲を今聴かせるなんて。
穏やかな音色が私の心に、ゆっくりと染み込んでいく。
そして、心の中のずっと奥に沈んでいた記憶が。
 
 
「あたしはまだへたっぴだけど、必ずあんたに追いついてみせるよ」
 
ああ、そうだ。
 
「だから、いっしょに目指そう! そう!」
 
ずっとずっと私は春花と目指していたんだ。
 
「世界のちょーてんを!」
 
その気持ちがこめられた曲の名は。
 
「ずっと上を! ずっとずっと――!」
 
私が、皆と弾く曲の名は――
 
「「はるかかなた!」」
 
腕の震えが――止まった。
 
 
新山からの着信。
今度は電話。すぐに出た。
 
「見たか?」
「見た」
「卒業式の日に彼方が課題曲を弾き、共有達から十分な評価を得ること、が特待生資格継続の条件だ」
「そうだったね」
 
卒業式の日に弾くのなら、場所の指定はなかった。
それなら、まだ最高の演奏をすれば可能性はある。
 
「課題曲はバイオリンがないとできない
一、あいつを助けてやってくれ」
 
「言われなくても」
 
会話もそこそこにケータイをベッドに放り出す。
相棒をひっつかんで、扉を開け放つ。
陽の当たる場所に出る。
私はすぐに駆けだした。
友達の待っているところへ――
 
俺たちの桜が返ってきた!と思ってしまうわけですよ。あんなに憎んでいたバイオリンを「相棒」と呼ぶようになっているし、楽しそうな皆を見て「友達」と呼ばずにはいられない――
 
走れ桜!!!
 
―――

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「道を空けて!」
 
人ごみを必死ですり抜けて駆けた。
早く演奏したい。
隣りに座りたい。
野々宮の、いや、彼方の隣に!
 
「か……」
「彼方ああああああああああ!」
 
叫んだ。
彼方に聞こえるように。
届くように。
 
「桜」
「桜ちゃん!」
 
皆が演奏の手を休めて、私を見る。
帰ってきた――
そんな気がした。
 
「来たか」
「来たよ」
 
息を切らしながら答えた。
 
「無茶をする」
「お前にだけは言われたくない」
「私抜きで楽しそう。ムカつく」
 
照れくさくて悪態をついた。
 
「席は空けてあるわよ?」
「早く早く!」
「さっさと課題曲決めてや。もうウチは疲れたで」
「うん、彼方」
「なんだ」
 
「今までで一番の音を出してやる」
「覚悟しろ」

 

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―――
 
あとがき
ということで春ポコ桜√感想でしたー。今回はなんと8000字ですよ! 藍ルートの5000字よりは多くなるだろうと思ってたけど8000ともなると一気に重みが増すな……まあ引用を自重しなかったのでそれで文字数増えてる面は大きいと思うのですが。
藍ルートは4時間で5000字だったけどこっちは3時間で8000字。馴れの効果か? ぶっちゃけると藍ルートより書きたいことがちゃんとあったからかもしれない。
桜は体験版の印象No.1だったんですが、期待を裏切らない良キャラ&良ストーリーでした。
「嫌であります!」は今後積極的に使っていきたいですねえへへ。
 
次はラストの夏海ルート! ではではー。
 
 
追記:
2014/08/16
桜が最後にみんなに「友達になりたい!」って言ったのは、彼方が桜に「もう一度友達になってほしい」と言ったことのリフレインかもしれないなーと。自分から経ってしまったつながりを、もう一度自分からつなぎ直す。律儀だよね