ゆらのふなびと

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『ローゼンメイデン』 3巻 ~もしお前がバラバラになったとしても、僕が何度でも作り直すから

 

ローゼンメイデン 3 (ヤングジャンプコミックス)

 

さあ、選択をーー

 

僕が何度でも作り直すから

 

世界は選び取れるのだわ

 

 

TALE13 敵か味方か

TALE14 薔薇の指輪

TALE15 誓いのキス

TALE16 声

TALE17 過去・現在・未来

TALE18 次の扉

TALE19 まやかし

 

雪華綺晶に体を与えてしまったのは僕のせいだぞ

 

助けるどころか逆に利用されて…

 

力を吸われて今度は実体化の手助けまで…

 

ダメすぎだろ僕…

 

何もできなくて…過去の自分まで絶望させる…

 

今になって一体何ができるって…

 

≪契約……≫

 

「真紅!

 

契約! 僕に契約させてくれ!

 

どうすればいい? 契約書かなんかにサ…サインとか?

 

なんでもいい 早く!

 

僕にできることなら…

 

「待ってジュン!

 

それは薔薇の指輪…確かに契約の指輪よ

 

けれど それを付けたら貴方は…

 

否応なしに巻き込まれることになる…!

 

”まいた”ジュンは今そのせいで危機に陥っている

 

貴方だって或いは…」

 

できる

 

「できる!

 

僕ならできる!

 

できない事なんか何もない…!!

 

 3巻初っ端からジュンの急成長っぷりがすごいんですよ。2巻最後も「これは僕の問題なんだ!」で終わったとは言え、雪華綺晶に縛られて力を吸い取られながらのこの姿勢ね…。過去の自分に勇気づけられた言葉を、今度は自分で使って鼓舞している。

 

「ねえマスター 私にして下さいな

 

私ならこの世界を変えてさし上げられますわ

 

この可能性を失ったはずの世界を

 

貴方の…望む通りに

 

もう戦わなくて良いの

 

苦しまなくていいのよ

 

過去を変えて ”今”を正しい姿

 

貴方の居るべき場所になるーー」

 

≪居るべき場所ーー…≫

 

「ジュン…惑わされないで

 

過去を変えても今は変わらない…

 

人が変えられるのは未来だけだわ

 

 「もう戦わなくていい」だなんて、真紅の「闘うことって、生きることでしょう?」とも金糸雀の「私たちは生きている 闘っているから」とも正反対だし、全部世界のせいにして自分は楽して勝手に周りに変わってもらおうっていうそういう他力本願な甘い囁き!! もうそんな後ろ向きな言葉にそそのかされるジュンじゃないはずだ…!

 

「――ジュン

 

ここからは落ち着いて聞いて頂戴

 

レプリカの私の体には契約が負担であるように

 

貴方にとっても契約は負担なの

 

この”まかなかった”世界のパラドックスは今 あなた一人に集約されている

 

過去とコンタクトし この世界にとって異物である薔薇乙女と触れ合った

 

その上契約までしてはどれだけのリスクを負うのかーーー」

 

「選ばないって選択肢もあるってことです

 

そこはお前の気持ち次第です」

 

「余計な事を… そんな答えは許さないわ

 

さっさと決めなさい!」

 

「ふふ…面白いこと…

 

いいでしょう それでは一時休戦と致しましょう」

 

「そんな…いっぺんに言われても」

 

≪どれが本当でどれが嘘?≫

 

「そしてマスター… どうぞ選んでくださいな」

 

≪どれも嘘? どれも本当?≫

 

「何が起きるかは聞いてみてのお楽しみ…

 

さあマスター どの乙女の手を取りますか?

 

さあ 選択をーー

 

 真紅に契約させろと言ったジュンだが、他3人にも契約を求められ超モテ期。「選ばない」はもはやジュンの選択肢にはないはずだが、今まで「選んでこなかった」ジュンは、どうしていいかわからなくなってしまう。

 

(2巻)

 

僕はいつも選ばなかった

 

いつだって送られたものを…

 

偶然手にしたものを甘受しただけだ

 

選ぶ?

 

「ジュン…」

 

僕はどうすれば…

 

「決めるのはお前よ 人間」

 

何が正しいんだ?

 

 「何が正しいんだ?」か…。大きな選択を強いられた時には考えざるを得ない問いなのかもしれない。深く考えずに直観とか自分の気持ちに従えばいいことも多々あるんだけどね。ドクター(マルドゥック・スクランブル)の「マリッジブルー」という言葉がちらり。

 

 「マリッジブルーって知ってるか、ウフコック」

「一度決めたことに対して、ぐだぐだぬかすことさ。個人的な感情がどうとか、自分は大丈夫なのかとか、何が必然で何が偶然なのかとか、そういったことをだらだら考えるんだ」

 

 

 ここで真紅の優しさがやってくる…!

 

「ジュン」

 

「真紅…」

 

「悪かったと思っているわ 巻きこんでしまって…

 

貴方の この世界の幸せや存在意義を

 

私たちのような闖入者が壊す権利などないというのに

 

貴方を巻き込みたくはなかった…本当よ

 

ごめんなさい

 

ごめんなさい…

 

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 あの気高い真紅がこんな顔してんだもん…そりゃ許すよ。いや、むしろこっちがごめんと言いたい。僕も誤解していたんだ、君のことを。今のジュンにそっけなくするのは「向こうの方が大事」とか「こっちはもう可能性がないから」っていう切り捨てからくるものなのかと思ってたけど、違うんだね。「巻き込みたくない」という、君がまいたジュンに抱いていたのとまったく同質な「優しさ」だったんだ。

 

≪貴方には関係のないことだわ≫

 

≪いいえ なんでもないわ

 

貴方と契約したらまた元の木阿弥に…≫

 

(そうか…

 

そうだったのか)

 

突き放した態度も

 

何も話さなかったのも全部

 

僕のために…

 

「だからせめて…

 

どうか貴方の好きにして

 

悔いのない選択を…」

 

 真紅の優しさに気づいた今、ジュンに残された答えはもはや一つしかない。

 

 

真紅

 

僕の作った人形

 

僕がこの手で

 

たとえレプリカでも 自分の力で作り上げた はじまりの人形

 

 これまでのジュンは、人形という存在に、きっかけをもたらしてくれることを望んでいた。でも今のジュンは違う。自分から、その人形を守ろうとしている。誰かを大切に想い、その人のために動こうとしている。

 それと「自分で作った」という感覚はけっこうでかいなーとも感じる。舞台にしろ、「自分も作った一員なんだ」という自負があったからこそ「これは僕の問題なんだ」と言えたわけで。

 

「真…紅… 手を…」

 

「ジュン だめ

 

契約したら 私はともかく貴方の身が…」

 

「僕はどうなってもいい…

 

もしお前がバラバラになったとしても…

 

ぼ…僕が…

 

僕が何度でも作り直すから

 

 かあーーーーっ!!! かっこいい。もーね。抱いて。抱いてジュン。僕も君に作られたい。ああ。

 ジュンも真紅も言ってることは「自分はいいけど、貴方が…」なんだよ。なんでこんなに相手優先で思いやってやれんだよお前ら…と。もうここには人形とマスターの絆の可能性を感じずにはいられない。いやこっちのジュンと真紅はまだ契約すらしていないのだけれど。

 

 

 (結局引っ張り合いのあげくジュンは蒼星石の指輪に口づけちゃって蒼星石復活して鐘が鳴り響き第0世界どーん!!)

 

 

「お前の事 話してよ」

 

僕の事…?

 

昔の自分に話せるような事なんて…

 

「………」

 

「あー…じゃあさ

 

大学行くってどんな感じ?」

 

「どんなって…普通だよ 別に何も…」

 

「そんな事ないだろ

 

不登校止めて 勉強して上に行って…

 

一人暮らしなんて 今の僕からは想像もつかない」

 

「………

 

そんなたいした事じゃない

 

三流大学だし… まわりの奴らは遊ぶ事ばっかりで

 

世の中出たって下らない奴ばっかりだ

 

バイトの店長だって…」

 

あれ…

 

前にも誰かとこんな話…

 

 

「そっか…

 

やっぱそんなもんなのか 大学なんて…」

 

≪ズキ…≫

 

がっかりしてる… そりゃそうか

 

今の僕は未来の自分なんだからな

 

こんな話がしたかったのか?

 

中学の自分にこんな

 

情けない言い訳や愚痴みたいな

 

昔からこうだったか…?

 

違うーーあの頃は

 

どうせ何も起きっこないって

 

未来に何もないって言いながら

 

本当は心のどこかで…

 

 期待してるけど踏み出せずにいた「まいたジュン」と、期待すら捨ててすべて諦めてしまった「まかなかったジュン」。それが昔と今の違いーー。

 

「違う…っ

 

違うんだ

 

なあ僕…そんな顔するなよ

 

今は違うんだ

 

変わりつつあるんだ 中学の僕からメールが来て変わってきてる

 

お前のおかげなんだよ

 

無理だと思ってた衣装のデザインだってできた!

 

なんのとりえもないつまらない奴だった僕に!

 

眠ってた才能かって言ったら…

 

そうかもしれない そう思えたら…

 

でもやっぱり僕は特別な人間だったわけじゃない…

 

じゃあ僕はこれまで何をしてたんだ?

 

もし眠ってた才能なんて都合のいいモノを持ってたとして…

 

なんのとりえもないつまらない人間だったのはどうしてだ?

 

 ジュンの裁縫のセンスは才能だよ。そりゃあ薔薇乙女をして神業級の職人、マエストロと言わしめてしまうほどなんだもの。だからといって僕は彼に僻むわけじゃないが、そんなことはどうでもよくて、重要なのは彼の「じゃあなぜ自分は今まで才能=自分の持っていたものを活かせなかったのか?」という問題提起。

 (相手がしょんぼりしてるとこを見るとじっとしていられないとことか、やっぱり両方ジュンだなーと思ったり)

 

『線を引かれてる感じ』

 

『自分はここまでっていう天井が』

 

いや

 

気づかなかっただけだ

 

自分で線を囲ってーーー

 

境界線の疎外感

 

全ては外界が原因?

 

そうじゃない

 

本当はここまでしか行けないなんて境界線は

 

本当はどこにもーー

 

 その瞬間、ジュンの第0世界は砕ける。

 

目に見えない線ーー…

 

同じように 目に見えない…

 

ーーまきますか まきませんかーー

 

≪やっと気づいたのね≫

 

…真紅…

 

そう 世界はいつだって

 

目に見えない選択肢で満ちている

 

気づこうとさえすれば

 

誰の手にも無限に

 

 

世界は 選び取れるのだわ

 

 可能性だって、呼んでくれる声だって、ちゃんとみんな持ってる。「気づこうとすれば」。自分が気づいていないだけで。これがローゼンメイデンの基本スタンツのように思う。

 

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このコマの解放感はすごく好きです。

 

「なぁ まいた世界の僕

 

僕は ずっと思ってたよ

 

誰も僕を覚えてない世界は 気持ちいいものだろうなって

 

ーーけど

 

さっき見たあの世界… 悔しかったんだ

 

だって

 

斉藤さんの着てたのは 僕の衣装じゃなかったから…

 

 

ーーーありがとう」

 

「え…」

 

「僕 もう

 

行けそうだ」

 

 ジュンは現実に価値を見出したんだね…。ずっと境界線を張って、諦めて、閉じこもってた世界が、斉藤さんに芝居に引き込まれたことで変わった。「”僕が”したい」って、思えるようになったんだろうな。やりたいこと、見つけられたんじゃん。

 

「さよならだ 中学生の頃の僕

 

次は

 

未来でまた会おうな」

 

「――…

 

…言われなくても追い越すけどな」

 

「見ててくれよ

 

ここから

 

巻き返す!」

 

 ここらへんキラキラしててすごく好きだな…。

 

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これとかもうイケメンだし、

 

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男の友情、って感じがしてね。しかも、過去の自分との約束。「未来でまた会おうな」っていう言葉は、「自分は未来と向き合うぞ」っていう宣言でもあるんだ。

 

 

 

「…呼ぶ声が聞こえたんだ

 

最初はあたたかい指の感触と……

 

『僕だけのドールを』という縋るような声

 

それから…

 

繰り返し誰かの名を呼ぶ懐かしい声

 

それは もうずっと長い間探してた名前

 

僕の名前…」

 

≪彼方から 迷い子を呼び戻すように届くーー≫

 

「知っていたかい?

 

7つに分けられたローザミスティカのうち

 

僕らに割り当てられた欠片は

 

僕らだけで最初からひとつだったようにぴったりと重なる双子石だったんだって

 

お父様にそう聞かされてたよ」

 

「まさか… だからってその子

 

自分のローザミスティカを双子の身体に入れたというの…?」

 

「失敗する可能性もあった

 

二人とも壊れてしまう事だって

 

…でも君はそれもわかっていて

 

僕を取り戻そうとしてくれたんだ」

 

≪ずうっと一緒ですよ…!≫

 

 やっぱり双子好きだな…。なんでこう双子の絆って心をくすぐるんだろうね? さっきのジュンと真紅に続き翠星石も、なんでここまで相手想いになれるんだろう? Fate衛宮士郎みたいというか…自己犠牲をいとわないの。それはとっても素敵なことだけど、さみしいことでもある…。

 

「”あった事”にするには 真紅たちと一緒に戻らないといけないと

 

そうじゃないと これまでの事がぜんぶ…」

 

「”なかった事”になる…?」

 

「そう!」

 

「”なかった事”に?

 

これまで創り上げた

 

僕の”今”が…?」

 

 果たして「あったこと」にする、というのはジュンにとっていいことなのだろうか。もちろん、大切にしたいと思える”今”を手に入れたのだから、それをきっかけに外に出ていくチャンスなのだが、もとはと言えば、人から送られてきた人形が与えてくれた変化にすぎない。

 もともと薔薇乙女はまかなかった世界にとって招かれざる客だった。そして、過去は変えられない。この2つから出てくる結論は…一人で帰るということじゃなかろうか。「世界は 選び取れるのだわ」 それを実感したジュンに次に必要なのは、自分で選び取っていくこと、自分で歩んでいけるようになることだ。

 

 

 

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ここのふたりの表情。優しさが行きかってるよ…絆ってこういうのを言うんだなーとひしひし。

 

 

 

 3巻は盛りだくさんで、読むのも書くのもとても楽しくできました! やっぱり楽しめるものだったら没入できちゃうものですよね、というのを実感。

 

 このままいくと、5巻くらいでアニメの分は終わるのかしら??