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ゆらのふなびと

競プロ, Python, C++

『ローゼンメイデン』 1巻 感想 ~僕だけの人形が、欲しかったんだ

『ローゼンメイデン』 マンガ アニメ

 

ローゼンメイデン 1 (ヤングジャンプコミックス)

 

僕の居場所はここじゃない

 

過去を変えて、今も変えられれば…

 

僕だけの人形が、欲しかったんだ

 

 

ここじゃない

 

ここじゃない

 

僕のいる場所は

 

ここじゃない

 

ここでもないーー

 

こんな大学来るつもりじゃなかった

 

こんなバカしかいないところ

 

本当ならもっと僕は

 

こんなはずじゃなかったのに

 

あの頃の僕とはもう違うのに

 

ただ繰り返しの毎日

 

外に出れば何かが変わると思ってた

 

それを僕は………

 

時間はかかったけど……

 

やり遂げたんだ

 

…なのに……

 

小学校の成績は良かったんだ… 中学だって

 

あの2年間さえ

 

あの中学の2年間さえ無ければ

 

そしたらいい高校入って 大学だって もっと

 

 

時間が戻せたら

 

あの頃からやり直せたら…

 

 まかなかった世界のジュン。彼の意識は、徹底的に過去に向かっている。それは今に対する失望の裏返しか。

 

好きな事に思いっきり か

 

いいよな…夢とか熱中できるものとかあって…

 

そういうのが見つからない不幸だってあるんだ

 

 なんなんだろうね。「何しても楽しめない」って。自分も何をしても続かないタイプだからわかってしまう。つながり? 集中?

 

「作るって…そんな

 

ローゼンメイデンって伝説の人形師だろ?

 

僕なんて素人だし あれウレタン製のレプリカだし」

 

「仮の器でいい

 

材質の問題じゃない

 

誰が作るかなんだ

 

真紅を戻せる器が作れるのは僕しかいない だからお前だ

 

できる

 

僕ならできる

 

だから お前もできる

 

できない事なんか 何もない

 

 まいた世界のジュンは、自分で扉を開けた存在ーーその選択に裏打ちされた自信がある。踏み出せずにいる今のジュンとは対照的。

 

…だめだ…こんなの

 

何日やったってできっこない…

 

「できる」

 

アイツは子供だから言えるんだ……

 

この歳になると現実がいろいろ見えてくるんだよ

 

できる事よりできないことの方が多いんだって…

 

「できない事なんか何もない」

 

ガキが…っ

 

精一杯頑張って… 何か一つやれたって…

 

外に出ればそんなの ほんの些細などうでもいいことだったって…

 

「自分はここまで」って限界が…!

 

 相手は自分が子供だった頃のジュンなのだから、「あいつは子供だから言えるんだ」という言葉はあんまり論理的じゃない。今から目を背けたい、言い訳がましさの表れなんだろう。

 でも絶望の淵に立たされて、そっから努力して這い上がったって言うのに、それが認められなかったらこうもなるよなあ。この強い「諦め」。苦しみをすり替えるだけなのに、どうしてこんなにも辛い対処療法を、人のこころは持ってしまったのだろう。

 

「再び眠りから目覚めることができた…

 

ジュンのお蔭でね

 

「え…」

 

(あ…いや 今のは

 

僕じゃなくて)

 

ローゼンメイデンはどの世界にもいるし

 

どの世界にもいない

 

世界にとって私たちは招かれざる客なのよ

 

だからお前が『まかない』を選んだ時

 

世界もまた ローゼンメイデンがこの世界に『はじめから存在しなかった』という選択を読み取った」

 

「僕のあのときの選択がこの世界を変えた…? はは

 

そんな大層なモンかね…」

 

選択で世界が変わる…

 

過去とのコンタクト…

 

昔の映画であったよな?

 

タイムスリップして過去を変えて戻ってきてみたら

 

現在が全く別世界になってみたいな展開…

 

…まさか… でも

 

もしかして…

 

 彼は決意に満ちた表情をする。でもそれは、過去に向かった意志ーーー

 

「少女の作り方」が届いて

 

真紅がうちに来て…

 

なんか生活がガラッと変わった気がする

 

今までは毎日することもなくて 部屋でゴロゴロしてたけど

 

これって… まあ小うるさいけど一応話し相手がいるって言う…

 

ん? そういえば…

 

いつの間に”お前”から”貴方”に昇格してたな…

 

昔(中学生)の僕と真紅…

 

いつもどんな話してたんだろう…

 

もしも…もしも過去の自分を変えられたら…

 

今の僕も こんなグダグダな生活なんかじゃなくて…

 

 

きっと 何か

 

始まってる予感がーー

 

 希望を持つのはいいことなんだけど、彼の意識は圧倒的に受け身だ。自分から変えていくんじゃなくて、きっかけにやっと「恵まれた」みたいな感じ。しかも向かっているのは、変えられないはずの「過去」。

 

「その本がまいたジュンからのものかどうかはわからないわ

 

向こうのジュンからの連絡を待たなくては

 

…僕だって「ジュン」なんだけどな

 

 真紅は向こうのジュンのことしか気にしてない?(まかなかった世界のジュンは「可能性を失った世界」とわかっているから?)

 

変わる

 

僕は今度こそ変われる

 

「少女の作り方」が届きだして

 

過去も僕からメールが来て…

 

真紅が来て

 

全部がいい方向に回り始めている

 

このまま過去の僕を言われるとおりに手伝って

 

過去を変えられれば

 

今の僕のこの世界も

 

きっともっと

 

一変する

 

 全っっっっ部他人任せじゃねえかお前はよお!!!!!「言われる通りに」とか、もう。。。

 

ジュン お前は 再び答えを選ばなくてはーー

 

 ここでも「選ぶ」って言われてるから、やっぱり選ぶことを求められているんだろうなあ。ただ真紅のセリフとしては、後の「可能性をなくした世界」という諦念的なワードにそぐわない気もする。

 

「私も早く元の世界に戻って ジュンと合流しなくては…」

 

可能性を無くした世界…

 

って…?

 

結局真紅も元の世界に帰るつもりなのか…

 

途中までとはいえ僕が組み立てたのに

 

まいたジュンまいたジュンて…

 

どっちも同じ僕のはずだろ

 

 真紅が断りなしに「ジュン」といっていることからも、真紅の意識がまいた方のジュンに向いていることがわかる。

 「どっちも同じ僕」ではないんだなあ…真紅もそこをわかっているからこそこんなに扱いが違うのかしら。

 

なんだっけ こういう感じ

 

大学のサークルみたいなノリ

 

部外者には見えないラインが引かれてるような

 

疎外感 ていう

 

 なじめなかった者の寂しさ。

 

「今度は部屋を散らかしてないのだから文句ないでしょう

 

貴方には関係のないことだわ」

 

関係ない…か

 

わかってた事だけど あらためて

 

なんか

 

ズシンとくるなぁ…

 

 

真紅は僕が必要なわけじゃない

 

僕がいなくてもいい

 

 

僕の居場所のない世界

 

構わないさ もうそこに期待したりしない

 

変えてしまえばいいんだから

 

この世界を 僕の手でーー

 

 今に希望を見いだせない者は、現実に価値を見いだせない者はどうしたらいい? 行きつく先は別世界への憧れでしかない。「変えてしまえばいい」という言葉は強そうに見えてとっても脆い。内実はただの「逃げ」でしかないのだから。

 

「お前って アレだろ

 

俺のこと 仕事しねー馬鹿だとか低学歴だとか見下してるだろ?

 

わかるんだぜそーゆーの

 

目ェ見りゃわかる

 

周り中ぜーんぶ見下して自分高いとこに置いてっと

 

自分のダメさ誤魔化せて安心できんだろ?

 

どーせここは俺の居場所じゃねーとか

 

中学生みたいな事考えてんだろ

 

そーゆー成長しないヤツだから

 

世の中つまんなくしか感じねーの」

 

 この店長、口は悪いし嫌なキャラだけど言ってることは的を射ている気がする。特に最後の2行。自分の失望を正さなければ、世界もずっと変わらないままだ。

 

「…真紅

 

連絡…来ないけどさ

 

今からでもできることってないかな…

 

過去を変えて…今を変えるために

 

いいえ

 

それはできないわジュン

 

世界は無限に分岐していくわけではないの

 

ずっと枝分かれをしていけば 段々と先細って消えてしまう

 

『まいた世界』が大きな幹だとすれば

 

この『まかなかった世界』は分岐した先の先の小さなひと枝

 

ここは分岐の可能性を失った世界

 

この世界の『今』を変えることはもうできないの

 

 これは「世界には無限の可能性がある」というローゼンメイデンの基本スタンツに背いているような気もするのだけれど…大人になるにつれて、可能性は失われるということ? ジュンは余りに自分の内側に閉じこもりすぎた。いつまでも目を背けていたら、時間が立つほどもう手遅れになってしまう。だから、できるだけ早く…?

 

そんな…

 

じゃあ過去を変えたって

 

僕の世界は何も変えられないのか

 

僕はずっとこのまま…?

 

真紅たちも帰って行って

 

また同じような毎日に……

 

「…そんなの…」

 

真紅が来て 何かが変わると思ってた

 

全てがいい方向に…

 

どうして僕だけの人形がいないんだろう

 

ずっと僕の傍にいてくれる

 

僕だけの…」

 

<<可能性の無い世界なら

 

作ってしまえばいい

 

お前だけの人形があれば

 

お前も変われるはずだ>>

 

作ってしまえばいい

 

お前だけの人形をーー

 

「僕だけの 人形…!!] 

 

  外からのきっかけ依存のジュンの期待。結局自分から踏み出すことができなければ、幸せにはなれないっていうか…。

 

 そしてジュンは雪華綺晶の罠にかかる訳ね。

 

「今度はどんなドールが作れるんだ!?」

 

結局 真紅は全部自分で作れなかった

 

でも 今度のドールは…

 

 純粋に楽しみにしてたっぽいし。久しぶりに打ちこめること見つけちゃったんだろうな…。それはいいことなんだけど。モチベーションが、不純っていうか。結局今のジュンが必要としていたのも「つながり」なのかもしれないね。

 

 

 

 

 新シリーズのジュンは、旧シリーズのジュンをもう一回最初から見ているようで…。こういう弱い人間が僕は大好きです。