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『思考の整理学』

 アイデアを生み出すためのエッセンスをまとめた本。コラム集のような体裁を取っている。1テーマ6ページごとの内容の連続性はさほどないので空いた時間にパラパラ読み進めるのに向いている。特に印象的だった3つのテーマについてまとめる。

思考の整理学 (ちくま文庫)

触媒

  新しいことを考えるのは、無から自分の頭だけで何かを創造することではない。既にあるものを結びつけることによって新鮮なアイデアは生まれる。すなわち、人間の頭は自分を前面に押し出していくのではなく、AとBからCが発生する反応の「触媒」となることで力を発揮する。アイデアを考え続けるよりも一旦寝かせて、リラックスした状態を作ることで反応の発生率を高めることができる。(pp.54-59)

 

ことわざの効用

 ことわざは、人々の具体的経験から一般的な教訓を抽出したものである。よって、具体的な事例をいくつも調べなくても、いくつかのことわざを知ることによって思考を節約することができる。自分だけのことわざを作ることも有用である。経験から他の事例にも使える原則を導き出さなければ、我々の頭にはエピソードのがらくたが積まれていくだけである。(pp.184-189)

 

「思われる」から「考える」へ

 日本人は「~だと思う」という表現を多用するが、これは英語で言うと「It seems to me...」に近い。ぼんやりとしたアイデアがなんとなく見えている状態が日本人的「思う(=思われる)」だ。しかしアイデアは、曖昧なままでは頭に繋ぎ止められることなくそのうち消えてしまう。よってこれを1つの論や仮説として「考える」のレベルにまで昇華させることが必要である。そのためには、読書や「書くこと」が有効である。読書は他者の考えに触れることで自分の考えを明確にする助けとなる。書くことは頭の中にある立体的な構造を一本の線に整理することである。(pp.218-223)

 

 他にも、ノートを使った整理の方法、忘れることの効果、「現実には2つある」など、興味深いテーマがあった。軽く読んでみるだけでも、何かしら新しい発見が得られる一冊だろう。

 

 

-----2014/01/30追記-----

 この本の有用性は、何かを思いつくには「頑張る」というより「準備をしたら後はリラックスして待てばいい」ということに気づかせてくれるところにもあるかもしれない。肩の力を抜こう、ってことですね。